発酵と出会いの街、宮内・摂田屋へ。心満たされる週末さんぽ旅
長年にわたる醤油や味噌の醸造のなかで、空気中を舞う菌が木板に少しずつ根付き、熟成を重ねるように深みを増していった黒い板壁。町全体が巨大な発酵蔵であるかのような風情を漂わせる長岡市宮内・摂田屋の路地を歩けば、香ばしい香りがやさしく迎えてくれます。
長岡市の中心地から少し足を伸ばすだけで、まるで旅をしているような気分に浸れるこの街。その魅力は、歴史ある風土と、そこに息づく「人」の温かさにあります。
微生物と素材が出会って深みが生まれる発酵のように、職人や店主、そして訪れる人が出会うことで、新しい食や笑顔が日々醸し出されています。
地図を片手に計画を詰め込むよりも、焼き立ての香りに誘われて気ままにお店をのぞくのが、この街を楽しむ一番のコツ。
お腹も心も満たされる宮内・摂田屋へ。この週末、ふらりと出かけてみませんか。
【宮内駅前エリア】笑顔と情熱にほっこり!地元で愛される出来立ておやつ
① 店主の笑顔と塩麹のコクにハマる【いも奉行】
じっくりと熱を通された焼き芋は、皮を割ると黄金色の湯気が立ち上り、甘い香りが一気に広がります。看板商品の「塩麹香る焼きいも」は、お芋の表面に、摂田屋にある味噌醤油蔵・星野本店の塩麹を塗ってからじっくりと焼き上げた逸品。
一口食べれば、お芋本来の蜜のような甘さに塩麹のまろやかなコクが重なり、奥深い旨味がじゅわっと口いっぱいに満ちていきます。発酵の知恵が素材の旨味を引き立てる、まさに長岡ならではの新しい美味しさです。
散策のお供に!「夏期限定スイカスムージー」
暑い夏の散策で少し喉が渇いたら、鮮やかな赤色が目を引く「夏期限定スイカスムージー」をぜひ。
「魚沼産羅皇(らおう)ザ・スウィート」という極上に甘いスイカをそのままつかった、まさにスイカ100%スムージーです。
すっきりとした後味が心地よく、焼き芋の濃厚な甘みのあとに味わうと最高のリフレッシュになります。
② 鉄板の上の職人技!フチまで香ばしい名物たこ焼き【たい焼き・たこ焼き たむ家】
カンカンと心地よい音を立てて焼き上げられる「足のあるたこ焼き」は、鉄板からはみ出た生地のフチがまるで足のようにカリカリに仕上がった名物フード。
焼き立てを口へ運べば、カリッと香ばしいフチの歯応えのあとに、中から出汁の効いた生地がとろ〜り溢れ出します。ありそうでなかったカリッと食感のたこ焼きは、一度味わうと癖になります。
ひんやりモチモチ!しろい「氷点たい焼き」
これに出会えたらラッキー?!癖になる食感といえば、白い「氷点たい焼き」もおすすめ。
真っ白でモチモチの生地とひんやり餡が重なり合うやさしい味わいは、食べ歩きの糖分補給にぴったり。
冷凍状態で提供されるので、30分以上の解凍をおすすめしていますが、半解凍から少しずつ溶けていく食感の変化も楽しみのひとつ。
好みの解凍具合を見つけて、自分だけの美味しさを堪能してみてください。
【摂田屋エリア】醸造の歴史とモダンなセンスが溶け合う、トキメキ散歩
重厚な黒塗りの板壁や趣ある木造建築が並ぶ摂田屋エリアは、古い醸造蔵の記憶と現代の洗練されたセンスが見事に溶け合う、歩くほどに心がときめく散歩道です。
③摂田屋の街とともに時を重ねた扉の奥に。世代を超えて親しまれる、やさしい味わいのパン【パンと菓子 旭屋】
摂田屋のパン酵母で焼き上げる名物の『コッペパン』はしっとりフワフワで、一口頬張ればやさしい風味が口いっぱいに広がります。
ピーナッツバターやあんバターなど6種類から選べるクリームやジャムを、店主がその場で丁寧に塗ってくれる光景には、どこか懐かしさが漂います。
お腹も心もやさしく満たしてくれる、誰もが認める逸品です。
サクッとトロッのハーモニー?!「煮卵パン」
旭屋のもう一つの名物「煮卵パン」も外せません。
じっくりとお出汁を染み込ませた自家製煮卵がまるごと入っており、噛んだ瞬間に半熟の黄身がトロッと溢れ出します。
サクサクの揚げパンから、トロッとあふれる半熟の黄身。その絶妙なコントラストに、熟練の技術を感じずにはいられない隠れた逸品です。
④醤油の香ばしさに誘われて。老舗が守り続ける自慢の味【江口だんご 摂田屋店】
いつもなら落ち着いた店内へ入るところですが、今回は雁木(がんぎ)の下にある実演販売へ。
ここで味わう『みたらし団子』は、注文を受けてから目の前で焼き上げる、香ばしさがたまらない一品です。
ツヤツヤと輝く甘辛いタレをたっぷりまとった焼きたてのお団子は、お米の風味とタレの深いコクが重なり、何本でも食べたくなる飽きのこない美味しさ。
歴史ある建築を眺めながらゆっくりと味わうひとときは、大人の散歩におけるハイライトのひとつです。
お米の旨みが際立つ伝統の味「おはぎ
江口だんご伝統の「おはぎ」もぜひ味わいたい品。
丁寧に仕込まれた餡の上品な甘みと、もち米のつぶつぶとした豊かな食感が心地よく、食べ応えも十分です。
おはぎには、同じく摂田屋にある越のむらさきの醤油「越の香」を使用しているため、中のもち米がほんのりと色づいており、甘みの中にも醤油の香ばしさを感じられます。
職人の妥協なき手仕事を実感させてくれる逸品です。
⑤ まちの新しい縁側。人と出会い、美味しい何かが生まれる場所【chahho。】
店内には、小さな箱がずらりと並ぶ「ひと棚商店街」が広がります。
職人による手仕事の雑貨や趣ある茶道具を眺めていると、旅の疲れもどこへやら、自然と心がほどけていくのを感じます。
ここでぜひ味わいたいのが、身体の奥にじわっと温かさが染み渡る「お茶漬け」。
新潟県村上市産のほうじ茶や玄米茶を注ぎ入れれば、土鍋で炊きたてのつややかなご飯と香ばしさが一体となって、立ち上る湯気が食欲をそそります。
地元の方と旅人が垣根なく言葉を交わし、笑顔が連鎖していく店内。
そこはまさに「人と人が出会うことで、新しい景色が生まれる」という、この街の魅力を体現したような特別な場所です。
一期一会の出逢い!「チャレンジキッチン」
日替わりで様々なお店が入る「チャレンジキッチン」も見逃せません。
お蕎麦やカレー、時には地元のお母さんが作る郷土料理など、訪れる日によって異なる食や挑戦者に出会えるワクワク感が楽しめます。
⑥ 歴史的建造物とアートとスイーツと。ひんやり静かな空間で味わう「キュン」とする一杯【秋山孝ポスター美術館 長岡】
中越地震にも耐えた貴重な建築物の館内は、外観の重厚感とは逆に、どこかやさしく、凛とした静寂が漂っています。
ここで味わう「ポスターカラーのクリームソーダ」は、長岡市出身のグラフィックデザイナー秋山孝氏の作品をイメージした色。
手元のクリームソーダの色味と館内のポスターを見比べ、「自分の一杯はどの作品から生まれた色だろう?」と思いを巡らせる時間も、ここならではのアート体験。
そんなひとときが、訪れる人の心を心地よくキュンと揺さぶります。
レトロで鮮やかな王道!「APMのクリームソーダ」
鮮やかなグリーンと真っ赤なサクランボが映える「APMのクリームソーダ」も大人気。
この緑色は、建物入り口の扉の色をイメージしているとのことで、その見事な再現性には思わず感嘆してしまいます。
もちろん魅力は見た目だけではありません。ぜひ実際に味わってみてください。